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【和訳・解説】"Final Church" - Childish Gambino|Atavista

  • 執筆者の写真: T.Y
    T.Y
  • 2024年7月12日
  • 読了時間: 4分

ようやく最後の曲、"Final Church"です。題名にChurchがあるように、ゴスペルロック調のラップソングになっています。

[Verse 1]

What's good? (Come on)

調子はどうだ?


Young Decatur, comin' straight out the hood (That's right)

ディケーターの若者、フッドから突き進んできた


I'm just tryna put the spirit in your Yeezy Boosts (Yeezy Boosts)

お前のYeezyの靴に魂を込めようとしてるんだ


Get your cup, it runneth over once I got the juice (Okay)

自分のカップを取っときな、俺は溢れるくらい注いじゃうからな


[解説]

ディケーターは彼が子供時代を過ごした地域の名前です。


"Yeezy boosts"は、Kanye WestとAdidasが組んだ靴のブランドです。靴に魂を吹き込む=踊らせるくらいの意味合いがあるでしょうか。

灰色のYeezy Boost

"runneth"はrunの古い表現でこれは聖書からとってきています。彼が欲張りなのは、活動の多彩さからもわかりますね。


Every day is Sunday mornin', woo, you hella late (You hella late)

毎日が日曜の朝だ、遅れてきてるんじゃねえよ


See the colors of my father when I meditate (Baow, baow, baow)

瞑想してると父さんの色彩が浮かんでくる


I'ma give it to you, mama, I can't even lie

ママにも分けてあげよう、嘘なんてつけないよ


Amber-colored lotus flowers when I touch the sky

空に触れるときには琥珀色の蓮の花が


I ain't even high, uh

ハイですらないのにな

(スピリチュアルな癒しを求めていたようです)


[Chorus]

There is love in every moment

全ての瞬間には愛が宿ってる


Under the sun, boy

太陽のもとに、少年よ


I did what I wanted to

俺はしたいことをしてきた


There is love in every moment

全ての瞬間には愛が宿ってる


Under the sun, boy

太陽のもとに、少年よ


You do what you wanna do

君はしたいことをすればいいんだ


[解説]

"do what you want"は彼の音楽に通底する非常に重要な概念です。前作の"Awaken, my love!"でもちゃんと聞けば随所随所にこのテーマがほのめかされていることが分かります。("Me And Your Mama"とかはわかりやすいですかね。)


このアルバムでも時間の有限性や、自分の願望に従うことの重要性が幾度となく説かれてきました。


[Verse 2]

Ooh, my beard long, damn, I look like Jesus (Uh)

ひげが伸びたな、イエスみたいだろ


And my shirt is off, ooh, I feel like Fela (Uh)

それからシャツも脱いだ、フェラ・クティの気分だ


On my mama, boy, you silly, tryna please a hater

ママ、息子はバカなやつだ、ヘイターが欲しいみたいだ


Do you feel me? (Nah, nah), y'all don't hear me (Nah, nah)

俺を感じるか?お前らは聞いてもないけどな


Said I feel good (Feel good), look good (Look good)

気分がいい、恰好もいいだろとは言った


East Atlanta, (Gresham Park), Hollywood (Hollywood)

東アトランタからハリウッド


Never said it even though I probably should (Woah)

これまでこんなこと言ってきたことなかったな


I said I love me, l said I love me, ah, yeah

自分が大好きだ、自分が大好きだって言ってやった!


[解説]

"Fela Kuti"はアフロビートの創始者として知られるアーティストで、半裸でいる様子が印象的です。彼もよく上裸になり、特に"This is America"のMVは有名でしょう。

マイクを握るFela Kuti

[Chorus]

There is love in every moment

全ての瞬間には愛が宿ってる


Under the sun, girl

太陽のもとに、少女よ


I did what I wanted to

俺はしたいことをしてきた


There is love in every moment

全ての瞬間には愛が宿ってる


Under the sun, girl

太陽のもとに、少女よ


You do what you wanna do

君はしたいことをすればいいんだ


[Verse 3]

When you looking at the devil

自分が悪魔を見ていて


But you lookin' in the mirror

でもそれが鏡だったとき


What you gon' say? (Wait a minute)

お前はなんて言うんだ?


Uh, uh, when your money getting long

持ち金は増えて言っているけど


But you know you're doin' wrong

自分が間違ったことをしてるって気づいてるとき


What you gon' say? (Wait a minute)

お前はなんて言うんだ?


Uh, uh, when you know your mama dyin'

お前の母さんも死に近づいて


And you runnin' out of time

自分の時間も無くなっている今


What you gonna say? (Wait a minute)

お前はなんて言うんだ?


Uh, when you feel alone

孤独だって感じるときもあるだろう


Know you are not alone (Wait a minute)

でも、お前は一人じゃないんだよ


Ah, yeah


[Chorus]

There is love in every moment

全ての瞬間には愛が宿ってる


Under the sun, boy

太陽のもとに、少年よ


I did what I wanted to, yeah, yeah

俺はしたいことをしてきたんだ


Now I just power forward

今はただ力強く前に進んでる


Under the sun, in every moment

太陽のもとで、どんなときでも


I did what I wanted to

俺はしたいことをしてきた


[Outro]

Everything that you're feeling right now (Ooh)

お前が今感じているすべてのこと


Let it out, let it out (Ooh, ayy)

吐き出せ、吐き出すんだ


Alright, you ready?

よし、もう準備できてるか?


Okay, now, one, two, one, two, three


Now do your dance, mama

踊るんだ、ママ


Ayy, ayy, ayy


Ayy, ayy, ayy, uh


Ayy, uh, yeah, uh


What? Feel it

なんだって?感じればいいんだよ


What? Dance, lil' mama

なんだって?踊れよ、君も


Ayy, ayy, uh


Get loose

解放するんだ


Uh, uh, uh, ayy, ayy


Yeah, yeah, yeah


Oh


Do what you wanna do

お前がしたいことをすればいい


Oh, yeah, yeah, yeah


No, no, no, no, no, baby


Oh, no, no


Do what you wanna do

お前がしたいことをすればいいんだ

トラック11、"Atavista"でした。この曲はアルバムのテーマ性をわかりやすく解説するかのようなシンボリックなものになっていて、聞くうえでの一助になりました。


これが最後の曲なので、訳したうえでの総評を記しておこうと思います。

[総評]

"Atavista"の転身前の"3.15.20"は、かなり賛否の別れたアルバムでした。聴衆が彼に期待していたのは、"This is America"のような力強く分かりやすいヒップホップもしくは、"Awaken, my Love!"のようなソウルフルなブラックミュージックだったのですが、このアルバムはどちらにも属さない、というか何者にも属さない彼自身の音楽といえ、実験的な曲が多かったことも含め、期待外れだというような意見も多くありました。


ただしっかりと聞いてみれば、このアルバムが彼の哲学を煮詰めて、濃縮したうえでできたものであり、彼の思想に最も近づくことができるものだということが分かります。商業的に求められているものと自分が表現したいもののジレンマは多くのアーティストがテーマとするものですが、彼もこの問題に囚われ、それだからこそあまりマーケティングをせず、コロナ禍にリリースしたのではないか、と私は考えています。


とにかく、彼の音楽に共通するテーマは訳している中で痛いほどに取り込むことができました。私に言えるのは、「したいことをする」、「自分を愛する」、という2つのテーマがカギになるということです。単純なことのように思えますが、裏を返せばそんなことでも軸として確立させれば素晴らしい作品を作ることができるということなのです。これからも彼の作品を追いかけるうえでは欠かせない意識だと思いますので、ぜひ頭の隅に留めておいていただければと思います。








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