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【和訳・解説】"Algorhythm" - Childish Gambino|Atavista

  • 執筆者の写真: T.Y
    T.Y
  • 2024年5月14日
  • 読了時間: 4分

更新日:2024年7月12日




2曲目は"Algorhythm"です。"Algorithm"ではなく、"rhythm"と掛け合わされた造語であることに注意してください。




[Verse 1]

Supercomputer status, walkin' along streets

Everyone is an addict, stumbling concrete

What was the motivation? Constant communication


[和訳]

スーパーコンピュータのステータスで通りを歩いてる

皆中毒者だ、コンクリートにつまずいてる

何がモチベーションだったって?絶え間ないコミュニケーションだよ


[解説]

kanye westを思わせる無機質なビートと合わせて、冒頭の部分ではこの曲の世界観が明快に説明されています。スーパーコンピュータが地位を持って街を闊歩し、人々は何かに夢中で道路につまずきながら歩く、こう言ってみればただ現代を説明しているようにも思われます。


そんな中でもモチベーションを保たせてくれたのは、人と人とのコミュニケーションだということですね。


Everybody wanna get chose like Moses

Came out Mother Earth smelling like roses

Summon the new edition, made it way too efficient


[和訳]

皆モーセみたいに選ばれたがってる

バラの香りがする母なる地球を出たんだ

新たなバージョンを呼び出す、効率的にしすぎてしまった


[解説]

モーセが杖と十戒の書かれた石をもっているところ


モーセは言わずもがなエジプトに囚われていたユダヤ人を神通力で海を割って脱出させたことで有名な預言者です。誰もが自分にはほかの人と違う特別なところがあるとどこかで思っているということを示唆しているようです。




ここはとても難解で正直正解の訳かどうかはわかりませんが、地球を出るというところでこの曲が持つ近未来性を強調しています。ただそれだけの表現なわけもなく、"come out smelling like a rose"というイディオムとかかっていることも確かでしょう。直訳すると「出てきてバラのにおいがする」という意味になりますが、潔白である、何事もなくうまくいく、という意味を持ちます。


加えて"Mother Earth smelling like roses"は、Childish Gambinoが目指すAtavista的な世界観を表していると考えられます。というのも、それに代わる"the new edition"が登場し、それはあまりに効率重視的だとしているからです。


Made us the guinea pig and did it with no permission

Told it to call a friend, didn't tell it to listen


[和訳]

俺たちを許可なくモルモットに変えてしまった

電話するために伝えたけど、聞かせるためじゃない


[解説]

手の上で座るモルモット


モルモットは"guinea pig"というらしいです。

(私は初めて知りましたね)

モルモットはよく実験動物にされますから、そうした意味合いがあると考えられます。




次の部分は直訳するとこうなりますが、他の取り方も存在すると思います。

それを伝えようとしたけど、友達を説得しようというわけではなくてあくまでConstant Communicationを行うための行為と私は解釈しました。


So very scary, so binary, zero or one

Like or dislike, coal mine canary

I dream in color, not black and white


[和訳]

とても恐ろしい、とてもバイナリーだ、0か1なんだ

好きか嫌いか、炭鉱のカナリアだ

俺は白黒じゃなく色のついた夢を見るんだよ


[解説]

バイナリーコードの羅列の写真

"binary code"は、コンピュータの動作処理などに使われる"1"と"0"だけで形成されたコードのことです。

"1"と"0"は「極端な選択」ととることができ、それを行うのはとても恐ろしいことだとしています。



現代のSNSやメディアは、likeボタンとunlikeボタンを持つものが多いですが、そうした極端な姿勢を批判しています。白黒の二極に染まらずに、間のグラデーションを活かしてカラフルな夢を見たいとしています。


"coal mine canary"は鉱山労働者が連れるカナリアのことで、有毒ガスの充満をいち早く察知するための道具として使われています。ここではそうした危機的状況の中でいち早く声を上げているChildish Gambinoの姿と重ねていますね。(鳥のカラフルな色合いもかけていると思われます。)


You sell your daughter on that data stream

Dopamine make it hit now

Humans don't understand, humans gon' sell a lie


[和訳]

自分の娘をデータの流れのなかで売ってしまうんだ

ドーパミンがすぐに打ち壊してしまう

人間は理解しないんだ、嘘を売るつもりなんだ


[解説]

娘を売る(データ的な意味で)というのは、子供の日常生活を切り貼りするインフルエンサーのことを言っています。そうした得たインプレッションから感じられるドーパミンで自分の子供たちの将来や可能性を潰してしまいかねないと警告しています。



Humans gotta survive, we know we gon' die

Nothing can live forever, you know we gon' try

Life, is it really worth it? The algorhythm is perfect, mmh


[和訳]

人間は生き延びなきゃいけないんだけど、いつか死ぬとはわかってる

永遠に生きれるものなんてないんだけど、そう試みるってことは知ってるだろ

人生、それは本当に価値あるものなのか?Algorhythmが完璧なんだ


[Chorus]

Everybody (Everybody), move your body, now do it (Now do it)

Here is something (Ooh), that's gonna make you move and groove

(Please don't lose that tempo)

Algorhythm

(Moving how they say so)

Algorhythm


[和訳]

皆、体を動かすんだ、今やるんだよ

ここには君を動かせてグルーブさせるものがあるだろう

(テンポを落とすんじゃないよ)

Algorhythm

(皆が言うやり方で動いて)

Algorhythm


[解説]



この部分は、1993年に発表されたZhaneの"Hey Mr. D.J."からのサンプリングとなっています。




Algorithmは、決められた手続きをとることいいますが、ここでは音楽と絡めて、決められたリズムで動く(動かされている)ことを表現しています。

彼は皆と同じように動いているという事実こそが人々を動かし、かつグルーブさせるとし、それが加速の一途をたどっていることを"Please don't lose that tempo"と表現しています。


[Verse2]

Step, step, slide, slide

Move your body from side to side

Clap your hands, don't spite the vibe

Keep on moving, you might survive


[和訳]

ステップ、ステップ、スライド、スライド

身体を端から端に動かして

手を叩くんだ、バイブスを損なわないように

動き続けるんだ、そうすれば生き残れるかもしれない


Pressure is to evolve, take a bite of the apple

We crush it into the sauce, how do we know the cost?

How do we know the truth without feeling what could be false?

Freedom of being wrong, freedom of being lost


[和訳]

圧力は進化のためにある、リンゴをひとかじりして

それを果汁にまで潰してしまった、どうして代償を知れるだろうか?

正確でないかもしれない感情なしでどうやって真実を知るのだろうか?

間違うという自由、迷うという自由


[解説]

通常進化は何らかの圧力下で起こります。初めて光合成を行ったとされるシアノバクテリアは、当時の生物にとっては毒素であった酸素の水中濃度が高まったことを期にそれを利用する道を見出したのです。

ただ、ここでいう圧力はAlgorhythmのテーマにあるように世間からの同調圧力を指していると思われます。


リンゴのラインは少し難解ですが、”リンゴをかじる”には二つの意味がかかっているようです。一つはアダムとイブがかじった禁断の実としてのリンゴ、これは彼らに原罪を与えましたが、ある意味新たな存在へと進化するキーとなったといえるかもしれません。

アップルの灰色のロゴ

もう一つは我々にもおなじみのアップルのロゴです。

(アップル社の製品で見てくれている人も多いかもしれませんね)

アイフォンにする理由、と言われてはっきり言える人は少ないだろうと思います。みんながアイフォンにするから自分も、という同調の意識がここでも表現されていますね。



このラインの中ではどうやら人類はリンゴを食べつくしてしまったようです。

これは食料が一極集中している状況と、これからの不透明な世界情勢を示唆しているとも考えられます。


"without feeling what could be false"が可能であるのはどんな存在でしょうか。これはもちろん現代社会にはびこるロボットやコンピュータのことですネ。間違ったり、迷うことのない彼らには真実など知ることができない、と人間賛歌的なラインになっています。



Wait a minute, wait a minute (Wait a minute, wait a minute)

Feelin' like the devil did it (Devil did it, ooh)

Lord willing, I'ma step to it (Step to it)

You gon' fall behind if you can't do it (Ooh, yeah)


[和訳]

ちょっと待ってくれよ

悪魔がやったように感じるよ

神の思し召し、そっちに移ろうと思うんだ

できなきゃ取り残されてしまうだろうな


[解説]

"Devil"は以前の部分の「リンゴ」とつながりがあるように感じられます。

アダムとイブがリンゴを食べてしまったのは、悪魔の象徴である蛇がそそのかしたからでした。それと同じように、再び現代に潜む悪魔が人間から人間らしさを取っ払ってしまったということではないでしょうか。(曖昧な解釈ですいません)


Ooh, we eating good over here now (Yeah)

Is you eating good over there now? (No)

Human ain't the move, do I care now? (No)

Looking for something worth it, the algorhythm is perfect, mmh


[和訳]

俺たちはここでいい生活をしてるよ(そうだな)

お前はそこでうまくやってるか?(いいや)

人間はもう動いちゃいない、俺は気にしてるんだろうか(ううん)

何か価値のあるものを探してるんだ、algorhythmが完璧さ


[解説]

"eating"が意味するのは、ただ食べるという意味ではありません。

彼の代表曲である"IV. Sweatpants"のhookでは、"Are you eating tho?"というフレーズが印象的に繰り返されますが、これは「満足のいく暮らしをする」という意味で使われています。




Childish Gambinoは様々な面で成功し、満たされた生活を送っているようですが、資本主義に支配された現代ではみんながみんなそういうわけにもいきません。


"Human ain't the move"ではChildish GambinoがたびたびほのめかすAtavistaへの憧れが表現されていると考えられます。Verse 1では人生の価値についての疑念が表現されていますが、生きていく価値と思えるものを探す必要があるとしています。


[Chorus]

Everybody (Everybody), move your body, now do it (Now do it)

Here is something (Ooh), that's gonna make you move and groove

(Please don't lose that tempo)

Algorhythm

(Moving how they say so)

Algorhythm

Everybody (Everybody), move your body, now do it (Now do it)

Here is something (Ooh), that's gonna make you move and groove

Algorhythm (Woo)

Algorhythm (Yeah, yeah)


※繰り返し

2曲目のAlgorhythmは、高度に情報化した社会のなかで人々の個性が埋没し、「人間らしさ」(と呼ぶのが適切かはわかりませんが..)が失われていることに対する皮肉と懸念がちりばめられたものとなっていました。


3曲目はAriana Grandeがfeaturingしている"Time"に続いていきます。



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