【和訳・解説】"Time (feat. Ariana Grande)" - Childish Gambino|Atavista
- T.Y
- 2024年5月15日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年7月12日
3曲目は、Ariana Grandeが参加している"Time"です。
この曲は未完成版である"3.15.20"からブラッシュアップがなされているので是非聞き比べてみてください。
[Verse 1: Childish Gambino]
Seven billion people
70億人の人々が
Tryna free themselves
自分を解き放とうとしている
Said a billion prayers
祈りの言葉を口にして
Tryna save myself
俺だって自分を守ろうとしてるよ
I can see it coming
それが来るのが見えるんだ
But it's moving fast
でもちょっと早すぎるかもな
[解説]
歌詞自体は2020年に発表されたものと変わっていません。世界人口はまだ80億人を突破していなかったんですね。
世界人口は(2024年5月現在)81億人を突破しており、飢餓や貧困、気候問題、食糧問題など多くの問題が今も起こっており、これからも人口が増加するにつれて深刻化すると考えられます。
「それ」というのは、問題が慢性的に蓄積されることによって訪れるであろう現行体制の終わり、もっと言えば人類史の終わりを示唆しています。彼はそれを感じているのではなく、実際に"見て"いるのです。そしてそれからは誰も逃げられません。
同様のテーマを扱ったヒット曲である"Feel like summer"はこのアルバムには入っていませんが、"3.15.20"には収録されていました。
地球温暖化に対する危機感をメロディアスに表現した名曲です。
[Verse 2: Ariana Grande]
Big ol' hurricane
巨大なハリケーンを経験したわ
Put the sunroof down
でもサンルーフを下ろして
Dancing with no pain
心地よく踊るの
We wait to see the sunrise
日の出が見れるのを待ってるんだ
[解説]
Ariana Grandeのアーティストキャリアも常に順風満帆であったわけではありませんでした。2017年、イギリスのマンチェスターでのライブ後、 自爆テロが発生し22人の観客が死亡するという事件が発生しました。自分のライブで人が死ぬという経験は、彼女の心に深い傷を負わせたことでしょう。また2018年、元カレであるMac Millerがオーバードーズによって死亡しました。その後交際していたPete Davidsonとの破局も大きなイベントだったようです。
ですがこれはAriana Grandeの個人的な問題についてのみ触れているのではなく、人間だれしもが程度に差はあれど"Hurricane"を経験してきたということを言っているのですね。Verse 1とは打って変わって、それでもなんとかなるよというある意味能天気な態度が歌われています。
It's a holiday (Hey)
祝日なんだ
When you're around (When you're around)
あなたが近くにいるときは
Breath of fresh air like a cold winter breeze
冬の冷たい風みたいな空気で息をするの
And I can feel it slow down, oh
そうすれば減速してるって感じられる
[解説]
"a cold winter breeze"という表現からはやはり"Feel Like Summer"とのつながりを感じられます。
"You can feel it in the streets 「通りにいると感じられるだろ
On a day like this, the heat こんな日はさ、熱を
It feel like summer 夏みたいだな
I feel like summer 夏みたいだ、ほんと」
I feel like summer"
"slow down"は、この曲で取り扱った地球温暖化のことを指しているほか、[Verse 1]でそこまで来ているとされていた危機のことも絡めています。
ただ、このVerseではそれに対する行動がなされているわけではなく、なんとかなるという心持ちで生きる様子が見られました。
[Chorus: Childish Gambino]
Maybe all the stars in the night are really dreams
実は夜空の星は全部まやかしかもしれない
Maybe this whole world ain't exactly what it seems
この世界全体が俺たちに見える通りじゃないかもしれない
Maybe the sky will fall down on tomorrow
明日にも空が落ちてくるかもしれない
But one thing's for certain, baby
でも一つだけ確かなことは
We're running out of time
Oh, time, time, ooh
俺達には時間がないってこと
[解説]
最初の3行ではこの世界の現実性に対する疑念が表現されています。「空が落ちてくる」という表現からは故事成語の杞憂が連想されますが、その意味通りこれらのことはさほど重要ではないのです。(考えても仕方ないことであるから)
これを伏線として、我々には時間が残されていないことが強調されています。
この「時間がない」という概念は、「人間はいつか死ぬ日が来ること」、そして「人類にはいつか終わりが来ること」という二つの意味を内包しています。
[Verse 3: Childish Gambino]
Running after something
何かを追いかけてる
But I don't know what
でもその正体はわからない
Where am I running to?
どこへ向かっているんだろう?
Too afraid to stop
止まるなんて怖くてできないよ
[解説]
ここでは全曲の"Algorhythm"でテーマにされていた、個人が同調圧力やメディアの操作によって均質化してしまった社会について再び触れています。何か大いなる流れの中にいる人々は、その流れ自体を感知できません。ですがそれに追従することは世間のスタンダードから外れてしまうことを意味します。
Hundred miles an hour
時速100マイルで動いてる
With no seatbelt on
シートベルトはなしさ
Time is everlasting
時間は不朽のものだ
I can't wait that long (Ooh)
でも俺はそんなには待てない
[解説]
100マイル = 約160kmであり、相当速いスピードであることがわかりますが、これは時間の流れの速さを表していますね。(光陰矢の如しって感じですネ。)
[Chorus: Childish Gambino]
Maybe all the stars in the night are really dreams (All the stars)
Maybe this whole world ain't exactly what it seems (This whole world)
Maybe the sky will fall down on tomorrow (Ooh)
But one thing's for certain, baby
We're running out of time
※繰り返し
[Verse 4:Ariana Grande]
My feet falling to the bottom of the ocean
海の底に沈んで行っている
Running out of time, out of time, uh, oh yeah
時間がないって感じるよ
High on motion, I can feel it moving forward
感情が高ぶったとしても、それが去ってしまうのがわかるの
Running out of time, running out
Running out, running out of time
時間がないんだ
[解説]
「海の底に沈む」という部分はどこか息苦しさを感じますが、これは時間がないことに気づいて焦っている心情を描写していると考えられます。楽しさや感動も時間のなかで移ろってしまうものですね。
[Chorus: Brent Jones & The Best Life Singers]
Maybe all the stars in the night are really dreams (All the stars)
Maybe this whole world ain't exactly what it seems (This whole world)
Maybe the sky will fall down on tomorrow (Ooh)
But one thing's for certain, baby
We're running out of time
※繰り返し
[Bridge: Childish Gambino]
(Time)
(Time)
It's about power (Time)
それは力のことなんだよ
All about power (Time)
全部力のことなんだ
Oh, I'm in time
俺は時間の中にいるんだ
I'm just tryna feel it (Time)
それをただ感じようとしてる
[解説]
ここまでの曲の中に通底するテーマとして、現代社会が力関係によって規定されているということがあります。
Get a little bit stronger
もうちょっと力強くならないと
Gotta go all out (Time)
死ぬ気でやらないとな
A ni**a gon' ball out
全力を出すんだよ
Try not to fall out
おいていかれないようにな
That'll be better
その方がいい
[解説]
Childish Gambinoは世の中にはびこる巨大な流れ、力に屈さずに自分から力強くなろうとすることを要求しています。これは継続して主張されている「動き続ける」ことの重要性と重なるものがありますね。
Gonna get better (Time)
多分よくなっていくはずさ
Too many pressure
プレッシャーが多すぎる
Do you need pressure?
プレッシャーが欲しいのか?
People need pressure
Uh, woo
皆求めてるけどな
[解説]
ここではもろに"Algorhythm"との繋がりが見られますね。"pressure"は現代人にかかっている様々な圧力(行動規範や無意識でのもの)を表しており、彼は人々がそれに従って生きていることに警鐘を鳴らしています。
"People need pressure"では、人々がそうしたpressureに従うことに一種の楽さを感じていると考えていることが表明されています。
Running out of time
We're running
Running out of time (Woah)
We're running
Running out of time
We're running
(outro)
3曲目"Time"でした。一貫してもうなんとなく日々を過ごしているような時間は残されていないとし、何か行動に移すことの重要性が語られていましたね。
4曲目は21Savageがフューチャリングしている"Psylicybae"です。

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